2024年3月12日
歯磨きというと、「歯ブラシで歯を磨く」というのが一般的イメージです。
しかし、正確には「歯ブラシ等を用いて歯や歯ぐきについたプラークなどの汚れを落とすこと」をいいます。
歯ブラシによる歯磨きだけでは歯の表面しか磨けず、全体の50%しか汚れの除去ができないと言われます。
日本人が歯を抜く原因の1位は歯周病です。
歯周病の予防には、歯間や歯周ポケットの清掃が大切になります。
そのため、デンタルフロスや歯間ブラシなどの歯間清掃ツールや、一本磨き用の歯ブラシを利用して清掃効率を上げる事が推奨されています。
デンタルフロスや糸ようじは、歯ブラシでは届かない歯間の側面や歯間下の歯ぐきに付いた歯垢を除去し、歯周病や虫歯を予防する目的で使われます。
単純に歯ブラシで除去できるの汚れは50%程度までですが、デンタルフロスや糸ようじを使うことで90%程度まで除去率を高めることができるとされています。
さらに、虫歯や歯周病をはじめとする口内疾病を防ぐ効果があるとされています。
「デンタルフロス」は糸を指に巻き付け使用します。
慣れない内やお子さんには扱いにくく、上手に汚れが取れないことがあり、練習が必要です。
しかし、治療暦がある歯(詰め物やかぶせ物のある歯)にはフロスが最適です。
汚れを取った後、片側の手を糸から離して抜き取ることで、詰め物やかぶせ物の縁に引っかかることがありません。
詰め物やかぶせ物が外れるリスクを避けることができます。
デンタルフロスにも商品ごとの特徴があります。
当院でオススメしている「フロアフロス」は初めは通常の糸の様に見えるが、挿入後に唾液や摩擦によってふわっと広がります。
極細の糸が広がることで汚れの除去力が高く、柔らかな素材のためデリケートな歯ぐきにも痛みを与えにくい特徴があります。
通常のデンタルフロスや糸ようじで痛みを感じやすい方に、特にオススメしています。
また、コンパクトな巻き取りタイプのデンタルフロスは持ち歩きにも適しており、外出先でのお口の清掃に加え、口臭予防にも大いに期待できます。
デンタルフロスの使用方法
フロスは指先から肘くらいの長さで用意します。
両手の中指に端を巻き付け、それぞれの人差し指と親指でつまみます。
鏡を見てねらいを定め、左右に細かく動かしながら、歯と歯のあいだにゆっくり挿入します。
歯と歯が接している部分に通す時はきつく感じる場合がありますが、勢いよく入れると歯ぐきを傷つけてしまいます。
歯ぐきに少し触れるまで挿入したら、隣り合った歯それぞれの側面に沿って上下に動かして汚れを取り除きます。
特に歯並びがそろっていない箇所は汚れが多いので念入りに行いましょう。
歯間から抜き出すときは、お口の内側に出ている手を離して外側に抜き取ってください。
「糸ようじ」はフロスに持ち手が付いており、より歯間に挿入しやすくなったものです。
フロスを扱えないお子さんや、顎関節や口腔筋肉の緊張によってお口が大きく開けられない方に適しています。
Y字型とF字型がありますが、ご自身にとって使いやすい形を選ぶと良いでしょう。
Y字型の方が奥歯の歯間に導入しやすく、F字型の方が汚れ除去力の高いものがあるという特徴があります。
しかし、かぶせ物や詰め物がある歯に使用する場合は注意が必要です。
糸ようじには持ち手が付いているため、フロスの様に糸を横に抜き取ることができません。
上方向に抜き出す際、かぶせ物や詰め物の縁に引っかかり外れてしますリスクが高くなります。
糸ようじの使用方法
左右に細かく動かしながら、歯と歯のあいだにゆっくり挿入します。
歯と歯が接している部分に通す時はきつく感じる場合がありますが、勢いよく入れると歯ぐきを傷つけてしまいます。
歯ぐきに少し触れるまで挿入したら、隣り合った歯それぞれの側面に沿って上下に動かして汚れを取り除きます。
特に歯並びがそろっていない箇所は汚れが多いので念入りに行いましょう。
歯間から抜き出すときも、ゆっくり左右に動かしながら取り出します。
詰め物やかぶせ物に引っかからないよう注意しましょう。
歯間ブラシは、食べカスが挟まりやすい隙間の広い部分に使用し、歯垢を除去し歯周病や虫歯を予防する目的で使われます。
使用できるのは歯間に△の広い隙間がある場合に限ります。
隙間が狭い部分に歯間ブラシを無理やり入れてしまったり、合っていないサイズの歯間ブラシを使用すると、歯ぐきを傷つけ、歯ぐき下がりの原因になってしまいます。
隙間が狭い方は無理をせず、デンタルフロスや糸ようじを使用してください。
歯間ブラシは「I字型」「L字型」、材質も「ワイヤー」「ゴム」の種類があります。
サイズ展開も豊富で、各場所に合ったブラシを選択すことが重要です。
歯医者では、定期検診やクリーニングの際にご相談いただければ、適切な歯間ブラシのご案内が可能です。
歯間ブラシの使用方法
必ず、隙間の広さに合ったサイズを選びましょう。
無理なく挿入できて、ブラシの密着感を感じられるサイズが目安です。
歯間の△スポットに、斜め下からゆっくりとやさしく挿入します。
歯間に沿わせて、前後に2〜3回動かします。
歯の内側からも行うと、更に効果的です。
向きを変えながら隣り合った歯それぞれにブラシを密着させて、歯垢や食べかすを取り除きます。