2023年11月5日
部分床義歯(部分入れ歯)
歯を1本失った場合~歯が1本だけ残っている場合
床(しょう)(樹脂でできたピンク色の土台)・人工歯・クラスプ(バネ)・連結子(バー)などから作られています。
※クラスプ(バネ)とは
隣の健康な歯に引っ掛けることで、義歯を維持・安定させる留め金です。
保険診療の部分入れ歯には必須のパーツで、金属で作られています。
その独特な形態と金属色から、入れ歯を目立たせてしまう原因ともなっています。
前歯、奥歯、両方のものなど、形は失った歯の本数や場所、口の中の形によって違います。
形は違っても仕組みは同じです。
歯が抜けている部分の両側の歯に金属製のクラスプ(バネ)を引っ掛け、固定するようになっています。
床と人工歯は、総入れ歯と同じく樹脂で作ります。
(部分入れ歯になる場合、選択肢にはブリッジ・インプラントがあります。それらと比較したメリットです。)
・費用が抑えられる
保険内の部分入れ歯であれば、審美性は劣りますが、保険内のブリッジよりも安価です。
インプラントは保険適用外のため高額医療に属します。
・治療期間が2~5週間
ブリッジも2~5週間程で治療が可能ですが、インプラントでは外科手術が必要なため、完成までに3ヶ月~12ヶ月程かかります。
・隣の健康な歯を削らない
安定感を増すために、一部分削る場合もありますが、隣の歯を大きく削ることはありません。
ブリッジでは両隣の歯が健康でも、大きく削る必要があります。
・清掃がしやすい
部分入れ歯は、自分で簡単に脱着ができます。
そのため、入れ歯の洗浄、口腔内の歯磨き等のお手入れ、どちらも衛生的に保てます。
ブリッジやインプラントは脱着できません。
どちらも歯の隙間があり、特にブリッジは食べカスが詰まりやすいため、毎日のお手入れが大切です。
・清掃に手間を感じる
隙間に食べカスが溜まりやすく、痛みやむし歯の原因になるため、毎食後取り外してうがいや歯磨きをする必要があります。
特に、外食先でも取り外す必要があるのは不便に感じやすい所です。
また、毎晩の入れ歯の手入れが面倒に感じる方も多いようです。
・バネをかける歯の負担が大きくなる
小さな部分入れ歯でも、大きな部分入れ歯でも、クラスプ(バネ)を掛けた歯の負担は非常に大きくなります。
毎日の食事でかかる負荷は、上下の力だけでなく、左右に揺らす力も大きくなり、健康な歯でも痛みを感じたり、根が折れるリスクが高くなります。
・バネの部分がむし歯になる
入れ歯は人口物の為、むし歯とは関係ないと思われがちですが、クラスプ(バネ)をかけている部分がむし歯になるリスクが高まります。
多くの方がクラスプ(バネ)の形に添ってむし歯ができてしまいます。
・小さい入れ歯は紛失しやすい
実際に多くの患者さんが部分入れ歯の紛失をされています。
一番多いのは、ティッシュペーパーに包んで置いていたら無くなってしまったという事例です。
保険診療では、入れ歯の再作成がすぐにできないので紛失には注意が必要です。
・設計によっては嘔吐反射がある方には不向き
口の中に異物が入ることに抵抗がある方は、小さな部分入れ歯でも吐き気がする場合があります。
複数の歯をつなぐ場合は安定させるための設計が必要になり、異物感が強くなってしまいます。
保険外の部分入れ歯へと範囲を広げると、ほとんど入れ歯だとは分からないぐらい審美性が優れていたり、装着の違和感も軽減されるなど、様々なメリットがあります。
但し、保険適用外となるため、コスト面での問題があります。
ご自身が入れ歯に求めるものは何か。
どんな治療も、メリット・デメリットをしっかりと理解したうえで選ぶことが大切です。