2023年9月25日
味覚障害は、通常の味を感じることができなくなる病気です。
発症すると、塩辛さや甘みが強いものを食べ過ぎて、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を誘発する恐れがあります。
また、食事に対しての楽しみがなくなることもあります。
食べ物の味を感じる器官は【味蕾】といい、舌の表面や付け根、上顎などに分布しています。
亜鉛が不足すると味細胞のはたらきが阻害されて味覚障害が起こります。
亜鉛不足が起こる状況には、偏った食事によって亜鉛の摂取量が低下したときや、抗アレルギー薬・抗がん薬・解熱鎮痛薬・抗うつ薬などの薬剤と亜鉛が相互作用を起こしたときなどが挙げられます。
また、貧血、消化器疾患、甲状腺疾患、腎疾患などが原因となって生じることもあります。
味蕾は短い間隔で新陳代謝を繰り返して細胞を生まれ変わらせており、新陳代謝を促す亜鉛が不足することで味覚に異常が生じます。
亜鉛は体内で合成したり蓄えることができないので、食品などから摂取する必要があります。
味覚障害の患者さんは、65歳以上が約半数近くを占めているほど、高齢者にとって身近な病気です。
味蕾は、加齢とともに働きが弱まりやすく、高齢者になると1/2から1/3あたりまで味蕾の数が減少するともいわれています。
歳を追うごとに味付けが濃くなっている方は、味覚障害が1つの原因となっているのかもしれません。
糖尿病をはじめとする慢性腎不全や内分泌機能の低下など、全身疾患が引き金となって味覚障害が出るケースもあります。
糖尿病については神経や血管が阻害されるため、糖尿病患者概ね4分の1に味覚障害があるという報告も出ています。
ストレスなどの心因性やシェーグレン症候群・ドライマウス・口腔カンジダ症・加齢などが原因で唾液の分泌量が減ると、食べ物の物質が溶け出しにくくなり、味蕾の働きが弱まります。
味覚と嗅覚は密接に関連しており、風邪を引いてしまうと嗅覚が低下して味を感じにくくなります。
風邪による味覚障害は一過性の症状と捉えられており、多くの場合は自然に治癒します。
しかし、風邪に罹患したあとに起こった味覚異常・障害については治癒しにくいケースもあり、症状が続くようならば一度かかりつけ医に相談してみましょう。
近年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)での味覚障害に関しては、舌の味覚をつかさどる組織である味蕾や神経へのウイルスによる障害に加え、嗅覚障害に伴い食品の匂いがわからないことによる風味の障害が主な原因として想定されます。
熱い食べ物によって火傷をしてしまったり、噛んでしまったり、入れ歯の傷などによって舌に炎症を起こすと、味の見分けが付きにくくなる可能性があります。