2023年7月20日
下唇の内側や舌の裏にぷくっと水ぶくれが出来てしまったことはありませんか?
治ったかと思っても何度もできる。
今までできた口内炎とは何か違う。
だんだん大きくなるけど痛みがない。
それはもしかして、口内炎ではなく「粘液のう胞」なのかもしれません。
口内の粘膜を噛んだり、歯ブラシやかたい食べ物で口の中を傷つけたことが原因で発生します。
小唾液腺がふさがり、隙間に漏れ出した粘液が溜まって膨らみます。
何度も膨張と消退を繰り返すことで組織がくっつき、以前より大きくなる場合もあります。
多くの場合は刺激を与えないように経過観察、子どもの場合は刺激を与えなければ3~6ヵ月で自然に治ることがあります。
通常の口内炎と異なり、痛み伴わないことがほとんどです。
鏡を見てぷくっと腫れているのに気付いたり、小さなお子さまの場合、保護者の方が見つけるケースが多くあります。
下口唇、舌の裏にできやすく、舌で触れて異物感に気が付くこともあります。
口の中にはたくさんの唾液腺、唾液の通るパイプがあります。
3大唾液腺・・・耳下腺、顎下腺、舌下腺
小唾液腺・・・口唇腺、舌腺、頬腺、口蓋腺など、口の中の粘膜全体に広がる小さな唾液腺
小唾液腺由来のもの(粘液瘤)、舌下腺に関連したもので小舌下腺管の一部が損傷し唾液が周囲組織に溢出して生じるもの(ガマ腫)が特に多く見られます。
何らかの原因で、唾液のパイプが詰まり、そこに唾液が溜まることで、ぷくっと腫れてしまいます。
大唾液腺に比べて、小唾液腺はパイプが細いため詰まりやすいのです。
つまり「粘液のう胞」=「唾液が溜まって膨れた状態」です。
なぜパイプが詰まり、唾液が溜まってしまうのでしょうか。
原因は、外的な刺激でパイプに損傷が起きることです。
唇や粘膜を噛んだ、顔にものをぶつけたなどです。
粘液のう胞は、自然と小さくなり治癒することがあるため、刺激を加えないよう注意し経過を見ます。
お子さまの場合だと、腫れていても3〜6ヵ月で自然に治る事があります。
しかしその反面、小さなお子さまは気にして触ってしまったり、噛んでしまったりして、のう胞がなかなか小さくならない事も多くあります。
粘液のう胞がなかなか小さくならない場合、同じところに何度も出来る場合には、外科的な治療を行います。
・原因となっている小唾液腺も含めて粘液のう胞を切除(隣接小唾液腺を損傷させることによる再発の可能性あり)
・炭酸ガスレーザーやEr:YAGレーザーによる治療
・糸を用いのう胞壁に多数の微小な孔を形成する微小開窓法
「小唾液腺を取ってしまっても大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、心配ありません。
お口の中には無数の小唾液腺、また唾液分泌のメインとなる3大唾液腺が存在します。
粘液のう胞の原因となっている所のみを切除しても、日常生活で必要な唾液は十分分泌する事ができますので、問題ありません。
唇や舌の先に、ぷくっとできものが出来ていると感じたら、まずはご相談ください。
もちろん粘液のう胞以外の場合もありますので、自己判断はされず、診察をお受け下さい。