2023年7月1日
嚥下とは物を飲み下すことをいいます。
これが正常に機能しなくなった状態を嚥下障害といい、誤嚥を引き起こします。
誤嚥は、65歳以上の高齢者の死亡原因の上位を占めています。
私たちは食物を口のなかで噛み砕く→舌を使って口の奥に送り込む→ 嚥下する、といった流れで食事をします。
このとき、口の奥の天井の部分(軟口蓋)が鼻腔を塞ぎ、気管のふたである喉頭蓋が閉じます。
これによって異物が気管や鼻に入り込むことなく、食道から胃へと送り込まれるのです。
しかし、脳血管障害や神経に関連した疾患(脳出血や脳梗塞、認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症)、筋力が低下する疾患(筋ジストロフィーや重症筋無力症)、その他(口腔がんや咽頭がん、精神的要因、環境要因、姿勢)、加齢などが原因となり嚥下障害が起こります。
高齢者は嚥下に必要な筋力が低下し、嚥下する際に嚥下の反射が遅くなります。
加齢に伴い唾液が少なくなったり、歯の本数が少なくなったりすることから咀嚼そしゃく(咬むこと)がしにくくなることも要因として挙げられます。
症状
嚥下障害には以下の症状がありますが、明らかな症状がないこともあります。
・物を飲み込みにくい
・飲み込むときに痛みや苦痛がある
・口から食物がこぼれたり、口のなかに残ったりする
・よだれがでる
・口が渇く
・食べるのに時間がかかる
・飲み込んだ後に声が変わる
・飲み込む前後や、最中にむせたり咳き込んだりする
・食物や胃液が口のなかに逆流したり吐いたりする など
これらの症状がみられたら、かかりつけ医を受診して、その人に合った食事および介助の方法を相談し、誤嚥防止に努めましょう。