2023年5月19日
従来、歯周病の進行については歯周ポケットの深さ、歯肉・歯槽骨の状態などをもとに以下のように分けられていました。
上の表のように一見わかりやすい分類ですが、あくまでこれは『診察時の状態がどこに当たるか』を表しています。
つまり、その後の悪化リスク、歯周病の進行を加速させる喫煙や全身疾患の有無、過去の病歴や治療などは反映されていません。
そのため、同じ程度の歯周病でも患者ごとに進行速度が大きく異なり、今までの進行過程は目安の域を出ませんでした。
例えば
30才の患者と60才の患者では、そもそも「健康な口腔状態」が大きく異なり、歯周病の進行速度や組織の回復速度に大きな差があります。
仮に同じ年齢でも、過去に歯周病治療を行った歴がある患者と全く歴のない患者では、症状悪化のリスクと速度が大きくなります。
そのようなことからも、歯周病疾患の診断はその時点の重症度だけでなく、進行速度や経過も重要視した新分類に基づいて行われるようになりました。
新分類では、
疾患の重症度と管理を行う上での複雑性を基にした「Stage」
急速に進行するリスクまたは根拠、予測される治療反応を基にした「Grade」
が設けられ、それを掛け合わせたもので診断を行うことになりました。
ここでいう主なリスクとは喫煙・糖尿病・骨吸収にあたり、それぞれの度合いを評価に加えることになります。
以上のことから、歯周病疾患の治療に関して、その時点の状態以上に悪化リスクや速度が重要視されていることが分かります。
つまり、歯周病を改善するためには歯周病以外の改善が効果的になります。