2022年10月21日
コロナウイルスの感染対策が緩和され、夏の暑さも相まって屋外ではマスクを外すことが推奨されました。
久しぶりにマスクなしで人前に出ることに抵抗を感じる人も多いのではないでしょうか。
その抵抗を少しでも減らすために、歯科医院にできることがあります。
「好印象を与える口元」を作ることです。
人の第一印象は顔で決まると言っても過言ではありません。
顔は表情によって様々なイメージを相手に与えます。
人は情報の90%を視覚から得ているとされ、表情から感情を、服装からは個性を感じとるとされます。
人の第一印象を決める際には「顔」が最も重要と考える人が半数以上(調査によっては70%以上)という結果があります。
さらに顔の中で最も重要なのは「目元」、その次に「口元」という調査結果が多く見られます。
ご来院される患者さんから「どのような口元になりたいか」とお話を伺っていると、「清潔感を与える口元」「きれいな歯並び」「歯を見せてにっこり笑える」「明るく白い歯」という意見が多くあります。
反対に口元に対して「自分で問題と感じているところ」を伺うと、「歯の汚れや黄ばみ」「歯並びが悪い」「歯を見せたくない」などが多くあります。
清潔感と明るいイメージを与える口元に好感を持つ方が多い印象です。
時間のかかるものから手軽にできるものまで、様々な方法がありますが、今回は歯の色・黄ばみについて取り上げます。
日本人の平均的な歯の色はどんな色かご存知ですか?
ご自身やご家族の歯(ホワイトニングや治療で色を変えていない)を見ていただくと、真っ白な方はいないはずです。
歯の色は表面のエナメル質の色ではなく、内側の象牙質という黄色っぽい組織の色が透けて見えています。
エナメル質に色はなく、厚みや凹凸による光の反射で白っぽく見えます。
その2つが合わさることで歯の色が決まります。
特に日本人は欧米人に比べてエナメル質が薄く、象牙質の色が濃く見えているため「A3」という赤茶色系の色が平均的な色味とされています。
この色には生まれつき個人差があります。
「A3」というのは歯科医院で使う色の分類と番号で「シェード」といいます。
A:赤茶色系
B:赤黄色系
C:灰色系
D:赤灰色系
A~Dの色味に鮮やかさと明るさを組み合わせた16段階のシェードを用いています。
むし歯の治療で使用する詰め物やかぶせ物の色もこのシェードで表しているので、先生や衛生士が話しているのを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
ここまで話した日本人の平均的な歯の色は、あくまで生まれつき持った色です。
歯の色が平均的なA3のままであれば、歯を見せてにっこり笑っても他人に違和感を与えることは少ないと考えられます。
しかし、様々な原因によって歯の色は変化していってしまうのです。
歯が黄ばむ原因の一つは、日常的に口にするものによる着色です。
代表的なものに赤ワイン・コーヒー・カレー・タバコがあります。
このような食品や嗜好品に含まれる原因物質が歯の表面に付着して蓄積することで歯の色が変化して見えてしまいます。
<食品・嗜好品> <原因物質>
緑茶・コーヒー・紅茶・ウーロン茶など……タンニン・カテキン
赤ワイン・チョコレート・ブドウジュース…ポリフェノール(赤ワインにはタンニンも)
カレー・醤油・ソース・ケチャップ…………着色料
タバコ……………………………………………ヤニ
この着色汚れは表面に蓄積したものなので、衛生士が行うクリーニングで簡単になくすことが出来ます。
汚れの程度によっては1回ですべてを取りきれない場合や、通常のクリーニングの器具では落としきれない場合があります。
クリーニングにも種類があるので、担当の衛生士にご相談ください。
歯磨きで取りきれなかった食べかすから細菌が繁殖し、「歯垢」「プラーク」「歯石」という菌の塊が歯の表面を覆い、歯が黄ばんで見えてしまいます。
「歯垢」「プラーク」「歯石」というのは食べカスではなく細菌の塊です。
付着した部分の歯の表面が溶けることでツヤが無くなり、より黄ばんで見えてしまう原因となります。
さらに歯を溶かして「むし歯」になると黄色→茶色→黒色と見た目が変化していきます。
磨き残しの汚れは今ある汚れを歯医者のクリーニングで落とし、正しい歯の磨き方を知って毎日の歯の磨き方を変えることで予防ができます。
歯並びやお口の状態によって歯磨きの方法には違いがあるので、ご自分に合った方法を衛生士と相談してみつけて行くのが大切です。
また、注意しても磨きにくい所や残ってしまう汚れが必ずあります。
定期的なクリーニングを受けることできれいな状態を維持し、むし歯などの変化をいち早く見つけることが大切です。
どんな人も年齢を重ねるにつれて、歯の色を決めている象牙質の厚みが増していきます。
さらに長年の摩耗によってエナメル質も薄くなるため、自然と歯の色味が黄ばんで見えるようになります。
また、エナメル質についた細かな傷には色素が入り込みやすく、①であげた着色汚れも付着しやすくなります。
着色汚れは①の通りクリーニングで対応できますが、象牙質・エナメル質の厚みを自在に変えることはできません。
そこで、ホワイトニングによって根本的な歯の色を変えることで改善されます。
【ホワイトニングについて(現在制作中です。)】
病気やケガ、薬の成分によって歯の質そのものが変化し、歯が黄ばんでしまう場合があります。
特に、昭和40年代に多く使用されていたかぜ薬のシロップに含まれる抗生物質「テトラサイクリン」によって、変色した歯を「テトラサイクリン歯」と呼びます。
0~8才頃、特に小学校入学前(歯の形成期)に長期間にわたり服用することで変色がおこります。
(母体への投与でも胎児の歯に影響が起こる可能性があります)
元々黄色いテトラサイクリンが象牙質のカルシウムと結合して沈着し、そこに紫外線が当たることでだんだん濃くなっていきます。
程度が軽いと歯全体が黄色・褐色・灰色に変色していますが、程度が重くなると灰色・青みがかった灰色の「しま模様」がみられます。
歯の内部の象牙質の色の変化に対してはホワイトニングが有効です。
ただし、テトラサイクリン歯はその程度によって、ホワイトニング効果が得られるまでに時間がかかる場合や、完全にわからなくすることが出来ない場合もあります。
ホワイトニング以外の改善方法には、セラミックや樹脂を歯のおもてに張り付けて見た目を変える方法があります。
しかし、この方法ではむし歯ではない歯の表面を削る必要があり、張り付けた素材が取れたり割れる可能性があるのでよく検討することをおすすめします。
ここまで、歯の色を変える原因と改善方法を上げましたが、①食べ物や飲み物、タバコによる着色汚れ、②磨き残しによる変化に対しては自分で予防することも可能です。
①②の予防法
毎日の生活の中で上記に気を付けることで、歯の表面に新たな黄ばみを作るのを防ぐことが出来ます。
歯医者でのクリーニングやホワイトニングと合わせることで明るく健康的な歯の色を維持することができ、他人に清潔感と好印象を与えることが出来ます。